Incisione(洋彫り)のシルキーな艶感
INCISIONE(インチジオーネ)とはイタリアフィレンツェスタイルのジュエリーに施される“洋彫り”のことを意味します。洋彫りと和彫りの大きな違いは線の繊細さ。洋彫りは髪の毛よりも細い線をフリーハンドで彫り起こしていきます。仕上がりのシルキーな艶感が魅力で、唯一無二の表情を見せてくれます。ハンドクラフトだからこその美しいニュアンスに魅せられて、デザイナーはイタリアに留学しました。
こちらがデザイナーが21歳の時に製作したヒコ・みづのジュエリーカレッジ ハイジュエリーコースの卒業制作です。タイトルは[Theobroma]:カカオの神様。全立体のカカオ豆にパヴェ留めを施し、胸元のラインに沿うようにジョイント部分を全て手作業でテニスブレスのようにロー付けしています。ロー付け中に、パーツを爆発させてしまった時の教室が止まった「キーン」という耳鳴りは忘れられません。
ひとつだけ心残りだったことが、表面に洋彫りのシルキーな艶感を入れられなかったことです。
専門学生の頃から、ずっと憧れていたものの「簡単にできるようになる技ではない」との先生の言葉に怖気づき、洋彫りジュエリーは作るのではなく銀座のジュエリーショップでケース越しに「眺めて憧れ続ける技術」となりました。
都内でジュエリーデザイナーとして就職して5年目のころ。デザインをする上で、ずっと憧れ続けた技術の洋彫りをデザインに取り入れたいという気持ちが抑えられなくなり、向かったのがフィレンツェでした。
デザインする上で作りがわからないとデザインできないという気持ちが強く、フィレンツェのジュエリー学校に行きました。
Incisione(インチジオーネ)は私にとってずっと憧れ続けたシルキーな艶感、なのです。現地でスルスルと自由に、リズミカルに彫りを入れていくイタリア職人を見て、重たく考えていた私には、かろやかな手作業がとても素敵に見えたものです。
DUE DONNEが作るIncisione、洋彫りジュエリーは、イタリアの伝統的なスタイルのデザインではなく自由な表現を求めています。ドゥエドンネならではの面白さを感じてもらえるようにと願いを込めて。
製作は現地でフィレンツェ彫りを習得した職人にオーダー。ドゥエドンネの洋彫りの魅力は、クラシックなフィレンツェスタイルの技法を用いながらも古典に囚われず現代に生きる女性にふさわしいデザインに仕上げている点ではないでしょうか。
ぜひルーペで悠久のルネサンス期から伝わる職人の仕事を覗いてみて下さい。
INCISIONE COLLECTION
洋彫りを依頼している職人と旅したローマの夕暮れ。